#004_1「地球の恵みをたのしむ旅」
夏の美旅計画を立てようと思いをめぐらせ、エステ三昧、デトックスツアー、ハイキング、世界遺産巡りなど、数ある計画の中から、今回は、デトックスはもちろん美しさも磨ける温泉を特集します。温泉がブームとなって久しいですが、温泉ビューティ研究家の石井宏子さんに改めて温泉について伺ったところ、知っているようで知らない温泉の底力を再発見。この素晴らしい温泉の魅力、その効果的な入り方をご紹介します。
一期一会の湯、それが温泉。
そもそも、温泉とは何かを考えたことがあるでしょうか。石井さんは温泉を、「生きている地球からでてきている『生きている水』」と言います。生きている地球の営みの過程で水が地中に染み込み、その地層のミネラルが溶け込み、温められて、もう一度地上に出てくる、これが温泉です。つまり温泉には、地球の生命力やパワーがたっぷり溶け込んでいるのです。だからこそ私たちは、温泉に入ることで美や元気を得ることができるのです。 温泉は自然のものですから、ひとつひとつ全て異なります。つまりそこの土地へ旅をしないと出会えない、唯一無二のものなのです。温泉は生きていますので、その日その時でミネラルバランスや温度なども刻々と変わります。生きている地球の水に入ることは、一期一会。生きている地球と対話すること、それが温泉旅の醍醐味です。
泉質は温泉の主成分と副成分の組み合わせで決まり、そのミネラルバランスによって得られる恵みが違ってきます。化粧品といってもそれぞれの役割が違うように、温泉も泉質によって特徴が異なり、「汚れを落とす」、「潤いを補給する」、「体を温める」、「血行を促進する」など、目的によって使い分けることができるのです。
さらに、お湯のPH値を温泉分析書で確認することも大切。PH7の中性を基本に、高いとアルカリ性、低いと酸性です。アルカリ性の場合は、石鹸のように肌の汚れや古い角質を落としてスベスベにする作用が、また酸性の場合は、肌を殺菌して活性させる作用があります。泉質、PH値を基準にして、自分の美容の目的に合う温泉を見つけてみましょう。
夏の美旅へ。目的別・3つの泉質。夏の温泉は、紫外線による肌の乾燥やくすみ、冷房による隠れ冷えなど、肌やからだの悩み対策や、厳しい夏に備えたからだのデトックスといった目的で活用することができます。ここでは肌への三大美容要素を取り上げて、ビューティをサポートする泉質をおすすめします。
肌表面をなめらかに整えて、ターンオーバーを促す働きがあるのは、「炭酸水素塩泉」や「アルカリ性の温泉」です。肌に残る余分な皮脂、汚れ、古い角質などを落として、スベスベの肌にします。乾燥が気になる時には、温泉から上がってすぐの保湿ケアがおすすめ。お手入れ効果もアップします。
塩の働きで保温、保湿が期待できる「塩化物泉」がおすすめ。塩の温泉は皮膚温度の上昇や発汗促進をもたらします。さらに、塩の成分が皮膚表面にある皮脂やたんぱく質などと結びついて「塩皮膜」をつくる働きで、肌の水分や熱を逃げにくくし、からだの芯まで温めます。乾燥が気になる方は「硫酸塩泉」もおすすめです。肌に水分を補給してしっとり整えます。
からだの巡りをよくし血行を促進して代謝を上げ、夏前のデトックスや、シミ・くすみ対策をサポートするのは、「硫黄泉」や「二酸化炭素泉」です。共に血行促進作用がありますが、「硫黄泉」が一気に毛細血管を拡張するのに対し、「二酸化炭素泉」の炭酸ガスはゆっくりと血のめぐりをよくするので、からだや心臓への負担が少ないのが特徴です。
*肌が弱い人は、温泉の濃度によって合わないことがあるので、入って刺激を感じたら肌を擦ってさらなる刺激を与えないようにし、出る時にシャワーで流すようにしましょう。
次回は、国内外の美旅にオススメな温泉をご紹介します。