#009_1「RIE OMOTOが選ぶフューチャリスティックシネマ」
自分の内側と向き合う時間が増える季節、今月のFeaturesのテーマは「五感を磨く映画」。自分の感性にぴったりと合う1本を探すもよし。これまで知らなかったジャンルの扉を開けるもよし。そこにはきっと、新しい発見があるはずです。
映画特集1回目の今回は、THREEメイクアップクリエイティブディレクターRIE OMOTOがTHREE TREE JOURNALの読者にオススメする、彼女自身もお気に入りの3本をご紹介。ニューヨークを拠点に活躍する彼女が選んだのは、観ればもれなくビューティーのセンスも磨けそうな、こんな作品。
「今回私がピックアップした3本は、どれもフューチャーリスティックでミステリアスな作品。それぞれの作中の人物の魅力に、きっと誰もが見入ることでしょう。シネマトグラフィーも素晴らしく、自ずと未来の世界を思い描いてしまう、そんなお気に入りの3本です。ちなみに『ブレードランナー』は、THREEの今年のAWコレクション『FUTURE NOIR』の世界観のインスピレーションにもなった作品です。2つの中にひっそりと共通する部分を映像から感じてもらえるかも」
RIE OMOTO(THREE メイクアップ クリエイティブ ディレクター)
内面に秘められた人の魅力を、メイクアップで存分に表現するのがモットー。NYを拠点としながら、多くのコレクションに関わり、『ELLE』『VOGUE』『Numéro』などのグローバルモード誌でメイクを担当するなど、世界を舞台に活動。アート作品への関わりも多い。
●RIE's Pick up Cinema 1
Under the skin『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(10/4日本公開)
Under the skin
「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」2014年10月4日日本公開/イギリス/カラー
監督:ジョナサン・グレイザー 出演:スカーレット・ヨハンソン/108分
【作品紹介】
真夜中の街で男性が行方不明になる事件が多発。次第に、彼らが姿を消す前ある女に声をかけられていたことが明らかになる。彼女の正体は地球外生命体。冷徹に男たちを“餌食”にしていく彼女だが、ある男性と出会ったことをきっかけに少しずつ変わり始め……。スカーレット・ヨハンソンが初めてフルヌードに挑戦したことでも話題。
【人物の魅力】
『真珠の耳飾りの女』『マッチポイント』『ロスト・イン・トランスレーション』『アベンジャーズ』、そして現在公開中の『LUCY/ルーシー』など数々の話題作に出演してきたスカーレット・ヨハンソン。彼女のトレードマークと言えばブロンドのヘアと魅惑的な唇ですが、本作では髪をまっ黒に染め、ミステリアスな表情が際立つ印象に。黒髪に合わせたダークカラーのアイライナーが、この作品の「毒」を象徴しているようにも感じられます。
●RIE's Pick up Cinema 2
Blade Runner「ブレードランナー」
Blade Runner
「ブレードランナー 完全版」1982年/アメリカ/カラー/117分
監督:リドリー・スコット 出演:ハリソン・フォード
【作品紹介】
SF映画の金字塔として評価されたリドリー・スコット監督作。植民惑星から脱走した4体の人造人間“レプリカント”の捕獲を依頼された“ブレードランナー”デッカードは、地球に潜入したレプリカントたちを追う……。近未来を舞台にしたSFサスペンスで、その卓越した近未来描写により、多くのファンを持つカルト作品。
この作品で、謎めいた秘書レイチェルを演じて一躍有名になったのがショーン・ヤング。重たい前髪の下から覗く、濃いアイラインでしっかりと縁どられた大きな瞳が、役柄にぴったりな存在感を示していました。人差し指と中指で煙草を持ち、謎めいた表情でこちらを見つめる姿は、まるで絵画のよう。30年以上前の作品とは思えないほどモダンな、独特の世界観に酔いしれて。
●RIE's Pick up Cinema 3
THE MAN WHO FELL TO EARTH「地球に落ちて来た男」
The Man Who Fell to Earth
「地球に落ちて来た男」 1976年/イギリス/カラー/133分
監督:ニコラス・ローグ 出演:デヴィッド・ボウイ
【作品紹介】
地球に落ちて来た一人の男は、砂漠化した惑星から水を求めてやってきた宇宙人だった。彼は現代において会社を設立し、素朴な女性と恋に落ちるが、次第に宇宙に残してきた妻子が恋しくなり、宇宙船を作って帰ることになる。グラムロックのスターとして当時の人気を博したデヴィッド・ボウイを起用し、孤独な宇宙人の姿を通して現代を捉えた、ただのSF映画にとどまらない作品。
デヴィッド・ボウイのその中性的な佇まいだけで、この映画の成功は決まっていたと言っても過言ではないほど。その横顔、伏せた眼差し、額にかかる前髪だけで、十分に主人公の孤独を表現している。監督がこだわる原色の使い方や、背景から決して浮かないアイメイクにも注目したい。
小倉聖子さん/VALERIA、映画宣伝パブリシスト)
1980年東京生まれ。小学生の時にアメリカ映画「グーニーズ」に出会い感銘を受け、アメリカ・LAに語学留学1年。帰国後すぐに、映画配給会社に3年在籍。その後、外資系会社、映画制作会社に在籍したのち、VALERIAを立ち上げ、爆音映画祭や、ポーランド映画祭、スクリーン・ビューティーズ、新作洋画の宣伝などに携わる。10月11日からは、3週間限定開催「没後30年フランソワ・トリュフォー映画祭」を予定している。