#009_2「映画の中のファム・ファタール」ー魅惑的な女性たちー

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映画はときとして、現実よりも現実に似ていると言われます。悲劇的な、あるいは喜劇的な人生の一瞬を、フィルムの中で輝かせる登場人物たち。切り取られたその一瞬は、見る者の心を惹きつけて離しません。そこには、人生の本質が垣間見られるからではないでしょうか。 そんな映画の中にたびたび登場するのが、「ファム・ファタール」と呼ばれる女性たち。この言葉から、あなたは何を感じるでしょうか。ファム・ファタールとは、「運命の女」を意味する言葉であり、同時に「悪女」を表す言葉でもあります。運命を狂わすほどの女なのか、運命を共にしてもいいと思うほどの女なのか。どちらにしても、ファム・ファタールは男にとって、生涯忘れられない印象を残す女であることに間違いはありません。


映画の中のファム・ファタールといえば?
たとえば、『L.Aコンフィデンシャル』(1997年)でキム・ベイシンガーが演じたリン。女優に顔を似せるために整形手術をした娼婦ですが、豊かな金髪を白いフードで少し隠した彼女の横顔は、どこか聖母マリアのようにも見えます。
features009_2_image_1Program Content & Photography ©1997 Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment (USA), Inc. ©2008 Monarchy Enterprises S.a.r.l. and Regency Entertainment (USA), Inc. All rights reserved.
『L.A.コンフィデンシャル』DVD発売中 3,800円+税 発売元・販売元:(株)東北新社 『L.A.コンフィデンシャル ブルーレイ・エディション』Blu-ray発売中 4,700円+税 発売元・販売元:(株)東北新社

それから、『めまい』(1958年)のキム・ノヴァク。映画の中で「二度死ぬ」役を演じた彼女は、演出で監督とぶつかることがあるほど、主張の強い女優だったのだとか。くっきりとした曲線で描かれた眉毛が印象的で、白いコートと黒い手袋という特徴的な服装を着こなせたのにも、意志の強そうなこの眉毛にヒントがありそうです。
features006_1_image_1(C) 1958 Alfred.J. Hitchcock Productions, Inc. &Paramount Pictures Corporation. Renewed 1986 Universal City Studios Inc. All Rights Reserved.
『めまい』Blu-ray:1,886円+税 DVD:1,429円+税 発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

それでは、映画の中のファム・ファタールに共通する表情とはどんなものなのでしょう?映画宣伝パブリシストの小倉聖子さんはこう話します。 「まず、口紅の色は真紅や濃い赤。煙草を吸う女性が描かれることが多いため、口元を強調するためのメイクなのかもしれません。そして眉は細め、アイラインは濃いめで、マスカラもしっかりと塗られています。髪にはパーマがかかっていることが多く、帽子をかぶる女性もよくみられます。彼女たちはいずれも、どこか影を持った女性たち。影があるからこそ、その存在感が際立つのでしょう」 映画の情緒を深める、ファム・ファタールの存在。彼女たちの表情の中には、私たちのメイクのヒントになるポイントも、たくさんありそうです。
ファム・ファタール風ポイントメイク
Eye Line
features006_1_image_1 ・目力を強調させる囲みライン
引き込むような強い存在感を瞳に与える囲みライン。上のラインの目尻は、下のラインの延長線上に沿わせると、きれいに仕上がります。
features006_1_image_1 ・洗練した印象を強めるシングルライン
切れ長なシェイプから、ミステリアスで洗練された印象を与えるシングルライン。目尻からこめかみに向かって、思い切って3mmほどラインを伸ばして。

features006_1_image_1 ・グラマラスな印象を与えるアウトカーブ
リップラインが丸いカーブを描いた唇は、ぽってりとグラマラスな印象に。
features006_1_image_1 ・秘め事を感じさせるストレートカーブ
リップラインがやや直線的な唇は、エレガントでしとやかな印象に。

この秋みなさんもぜひ、映画の中のファム・ファタールになったつもりでメイクを楽しんでみてはいかがでしょうか。次回、「五感を磨く映画」最終回もどうぞお楽しみに。