#007 内田 文郁(デザイナー)
日々、美しいと感じられる心の隙間を持っていたいと、いつも思う。
その隙間を確認する為に、ここ数年、空を見るのが癖になった。
日々の仕事、家事、子育て。
あーーー!と思った時に、家の窓から空をみる。
そして、マンションの屋上に走る。
美しい空の一瞬を見られると嬉しくなって、今日も隙間があるな、と確認する。というより、隙間をつくる。
日が落ち、刻一刻、空が燃え焼け、深い青にかわる時間は、自分の中の隙間に「美しい」を溜め込む時間。
「美しい」の背景には、必ず時間があると思う。
「美しい」は時間をかけてつくられる。
時間を経てきたものには美しさが備わっている。
どんな時間を経てきたのか、それは人でも洋服でも、表ににじみ出てくる。
時間をかけて丁寧につくられているものは、言葉では表せない、感覚に訴える力を持っている。
「美しい」を感じ取れる、感覚をいつも持っていたい。
不完全であること、不完全なものを、美しいと感じる。
完全になったとたん、私は興味を失う。
どこか癖のあるもの、ひと、それらの持っている違和感。
それは、とてもそれらしく、美しいと感じる。
美しいを重ねたい。重ねたものを身につけていたい。つくりたい。
長い作業になるんだろうな。