#016 Salyu(歌手)


整理整頓に関する専門家で いま世の中から注目を集める近藤麻理恵さん。 彼女の著作に「人生がときめく片付けの魔法」がある。 ちょっとした経緯で、本が私の手元にある。 先月、母が怪我で入院。病室で動くことのできない母から 暇だから幾冊か本を買ってきて欲しいと頼まれた。 そそくさと書店に足を運び、何冊かを選ぶ中で ときめく片付けの本を手に取った。 その内容が退院後、家に戻ってからの母の 生活のモチベーションになればと思ったのだ。 「こんなもの読んだらますます家に帰りたくなくなるわ」 しばらくは本を開くのに気乗りしていなかった母も やがて退院を迎えるころには「貴女も読みなさいよ」と こちらに勧めてくる次第(笑)。 片付けの天才としての直感力みたいなものが 言葉の端々に光る、健康的な美意識が躍動する一冊だった。 中でも私が一番印象に残ったページには こんなようなことが書かれていた。 “どんなに整頓されている部屋でも クローゼットの扉の奥にしまってある クリアケースに貼られたシールや 段ボールに印刷された文字情報が 部屋全体にざわざわ感をつくりだす” 今の世には、もはや「くさいものにはふた」 カルタでおなじみのこの言葉遊びも通用しないらしい。 要は、見えない情報の力を侮ってはならないというのだ。 視界に飛び込んでくる言葉が無意識のうちに情報処理され 頭の中にイメージとして響くから、とも。 無駄な情報の存在に気がつき、省いていくということは 日常生活の範囲を超えて、自分の仕事の分野にも 応用して考えることができる。 私は歌うことを職業とさせて頂いているが、その中で いつまでも忘れずにいたい課題がある。 それこそ、無駄を捨てる勇気を心に抱きしめておくことだ。 舞台で力を最大限に発揮するためには 力づくを連続させることよりも 無駄な行動を省いて、エネルギーをできるだけ リーズナブルに循環させていくことが重要であると学んでいる。 無駄を捨てる勇気とは何だか大げさに思われるかもしれないが 歌の場合は決して過剰な表現ではない。 無駄の多くが、自分の弱点を隠す為に 無意識に補われる癖であるからだ。 また、人の脳にはうまくいったことを 繰り返そうとする性質があると、音楽教育の場で学んだことがある。 この繰り返そうとする動機も、ある意味で上の内容と似ており それは危険を回避しようとする保守的選択であると思う。 しかしそれを実行しようとする人体は 物理的にも潜在的にも時々刻々と変化してしまっている。 だから、言ってしまえば実質的に同じことなど期待したって 2度とできるはずはない。だけど前と同じように… と地球の現実を余所に自分を励ましてしまうことが実際にある。 最近になり、そういう自分への励ましを 美を追求し続けるためには無駄なことだと感じだした。 保守の姿勢は、永遠に伸び代という余白を生かすことはない、と痛感するこの頃である。 私にとって最も美しい歌とは生涯完成を持たないものかもしれない。 時の経過という逃れられない変化の現実を 人間の面白さを知るチャンスと捉えられる楽観性をもっていたい。 地球時間のスリルを見つめてみてはじめて リアルな表現ということを私は知っていけるのかもしれない。 そこに生きる人間の美を見いだそうとしている自分がいる。 部屋の中の無駄をも分かろうとする情熱が 一貫して伴って欲しいものだが(笑)。 beautyrelay
2016.July.28(Thu)

- THREE QUESTIONS -

Q1 人間としての「美しさ」は、どんなところに表れると思いますか?
A1 後ろ姿がきれいな人には、心から感心してしまう。姿勢の美しさや、後ろ髪にもケアが行き届いている方を見ると、こちらも背筋が正される。
Q2 パーティーのときや大切な人に会う前日など、「美しい自分でありたい」オケージョンの際に、必ずとる行動や習慣は?
A2 足先と手先のケア。あとはできるだけご機嫌で過ごすこと。
Q3 お気に入りのTHREEアイテムは?
A3 シマリンググローデュオ。つけると顔がキュッとしまって、そのうえでツヤもでて健康的な肌を演出してくれる。

Salyuさんのお気に入りアイテム一覧

・THREE シマリング グロー デュオ