#024 スズキタカユキ(デザイナー)
美しい服を作りたいと常に思っています。
「美しい」とはどういうことなのか……。
その言葉に表しづらい概念を、どうしたら形にできるのか……。
もう、ずっと考え続けています。
私にとって美しいと感じるものとは、どういったものなのか?
非常に難しいのですが、少しだけ見え始めてきているかもと感じています。
それは、
可愛いだとか格好いいだとか、
男性的だとか女性的だとか、
未来的だとか原始的だとか、
大胆であるとか、繊細であるとか……
相反するすべての要素がその物の中に存在し、
それが、ここでしかバランスを取れないという
本当に本当にギリギリの一点で成り立っているもの。
そして、
そのギリギリのものが、押し付けがましくなく、
着る人と調和し、限りなくやさしく存在しているもの。
そう感じています。
雲をつかむような話ですが……
着る人によって姿を、場所によって輝きを変え、静かにその人と共に在るもの。
そんなものを作っていきたいと心から思います。
年に何度か、「仕立て屋のサーカス」という舞台を行わせていただいています。
それは音楽家と照明作家と私で行うパフォーマンスで、
即興音楽が奏でられる中、そこから空間と衣装のイメージを膨らませ、形にしていくというものです。
限られた時間の中で、どこまでイメージを形にできるのか、
自分の頭の中に浮かんだものを、どれだけ早く行動に移せるかの挑戦だと思っています。
この活動を続けていくことは、表現の幅を広げるということだけではなく、
スピード感と、自分がその時にできる最大限のものを出し切るということの、
かなりの訓練になっていると感じています。
また、「suzuki takayuki marriage」というラインでは、
ウェディングドレスのオーダーメイドを承っております。
こちらは何ヶ月も時間をかけて、お客様とお話をさせていただきながら、
丁寧に制作をさせていただくものです。
やはり、幾つかのプロセスを踏みながらでしか生まれないものもありますので、
この場は時間をかけて積み上げていくことの大切さ強く感じる経験となっています。
衣服というものを中心とした布に関わる様々な活動をさせていただいていく中で、
私にしか表現できない「美しい服」というものを突き詰めて行きたい。
そう常に思っています。