Global Creative DirectorのRie Omotoは、FIVEISM x THREE(以下、FIVEISM)のファーストキャンペーンのイメージとして、ブランドのフィロソフィーや美的価値を現す5人-全く異なる、しかしそれぞれが思わず引き込まれるような魅力を放つ-をキャスティングしようと考えていた。彼女が必要としたのは、若い世代に向けて彼らの視野や可能性を広げるようなインスピレーションを与え、ロールモデルとなるアイコニックな人物だった。
RieにとってFIVEISMのキャンペーンはそのシーズンのテーマだけでなくブランドのコアとなるコンセプトやアイディアを発信する機会でもある。ファーストキャンペーンでは彼女が選んだ人物を写真と映像におさめ“The Power Of Individuality”というテーマを表現しようとしていた。FIVEISMには、自分を解放し表現するという大切なアイディアを伝える絶対的な存在が必要だったのだ。
そこで、彼女がまず初めにキャスティングしたのが、カリスマ性とエレガンスを兼ね備える人、まさにCory Alexanderだった。Coryはモデルにとどまらず、アメリカを中心として世界的に活躍する歌手そして俳優であり、そのマルチなパフォーマンスはInstagramやYouTubeなどで目にすることができる。
私たちはRieに、なぜCoryを起用しようと考えたのか、そして彼をブランドの“IKON*”やアンバサダーとして選んだ理由について尋ねた。(*IKON:ブランドコンセプトのIndividuality=「個性」を体現している人物。唯一無二の独自性を持つ人物に対する尊敬の意味を込めた表現。)
RIE:私にとってDavid Bowieはいつも大きな存在です。そして、FIVEISMのスタイルやフィロソフィーに多くのインスピレーションを与えてくれるヒーローです。初めてCoryに会ったとき、Bowieを感じさせるとても力強くクールなものをはっきりと感じました。彼の仕草、歌い方、ファッションスタイルはとても個性的でありながらエレガンスさがあって、まるでBowieのステージを観ているようです。そして、彼にはBowieのようなクールさと同時に、力強い個性があります。初めて彼のパフォーマンスを観たとき、このキャンペーンに絶対に必要な人物だと解りました。彼は外見だけでなく内面的にも、とても魅力的な人です。スマートで物事をよく解っていて、FIVEISMのアイコンが持つべきスタイルと品格を持ち合わせています。彼との仕事は本当に充実したものでした。またFIVEISMで一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
そして、私たちはCoryにコンタクトし、彼の人となりや活動の様子、そしてFIVEISMに対する想いやindividualityへの考え方、彼自身のスタイルについて話を聞くことにした。
FIVEISM(以下:F):名前を教えてもらえますか?
CORY(以下:C):Cory Alexander(@thecoryalexander)といいます。
F:年齢を聞いても良いですか?
C:23歳です。
F:国籍はどちらですか?
C:実は、僕にとっておもしろい質問なんですよ。というのも、僕は養子として育ちました。元はノルウェー人の家系で生まれましたが、育ててくれた養家はイタリア人です。なので自分はイタリア人だと感じますね。僕にとって、国籍よりもどんな環境で育ったかということがアイデンティティです。養子として育てられて本当に良かったと思っています。元々の家族は僕がより良い人生を送れるようにと賢明な責任ある決断をしてくれました。心から感謝しています。養家は(解りやすくするためにこういう表現をしますが、僕にとってはあくまでも“家族”です)、いつも僕を支えてくれていて、自分の夢を追いかけることを応援してくれています。こうして支えてもらえることが珍しいことだということは、アーティストを目指す友人たちを見ていれば解りました。普通、親というのはアーティストになるのは難しいと言い聞かせようとしますからね。しかし、僕の両親は自分のやりたいことを全力でやりなさいと言ってくれました。養子であることについて話せるのは嬉しいことです。自分という人間をつくった美しいパーツであり、自分自身を語る上で大切なことです。
F:現在どこに住んでいますか?出身はどちらですか?
C:NYCに住んでいます。良い面も悪い面もありますね。毎日が刺激的なだけに時々、疲れるときもあって。だから、よく違う場所に出かけるようにしています。自分を保つために大事なことですね。出身は元々NYCなんです。郊外で育ち、その雰囲気は僕の人生に染みついています。都会らしさだけでなく、自然、穏やかさ、静けさの両方を楽しむことができたのは素晴らしいことでした。
F:仕事について教えてください。
C:歌手と俳優をしています。さらにモデルを始めてからはファッションの世界が大好きになりました。でも、唄うことが僕の生きがいであることに変わりありません。ちょうど作曲活動も始めたところなので、ぜひInstagramをチェックしてください。最近は何人かのミュージシャンとのコラボレーションで曲を作ってライブもしています。まだ音楽スタイルは決めてませんが、2000年初期のパンクロック、クラシックポップ、ギターポップがインスピレーションになっています。
F:自分のスタイルを説明するとしたら?
C:僕のスタイルは常に変化していますが、何よりも自分をどう表現するかを大切にしています。なので、流行を追ったことは一度もなくて自分らしさを貫いてきました。
僕にとって流行を追うことはファッションとは言えなくて、ただ人に合わせているだけ。上品に、クールに、でもありきたりなルールを破って面白くするのが僕のスタイルです。
F:人生で一番大切なものは何ですか?また、唯一無二の独自性を大切にしていますか?
C:僕が大切にしているのは家族や親しい友人を含め、側にいる人たちです。言うまでもなく、彼らなしで今の僕はありません。自分を支えてくれるかけがえのない存在です。僕は人と関わることではじめて輝くことができます。そして、アーティストとしての活動もとても大切です。最近悩んでいた時期があったのですが、ある人がかけてくれた言葉が背中を押してくれました。『もしピカソの絵をクローゼットにしまったままにしているなら売りなさい。他の方法で食べて行くなんて考える必要はない。自分がすでに持っているものを使いなさい。』僕にとっての”ピカソ”は自分の”歌声”です。そうして今、音楽をつくることに没頭できています。」
F:普段の生活のなかではどのようにindividualityを表現していますか?
C:二つあります。まず、何を着るかということで外側から自分らしさを表現します。そして、内面的なところでは日々色んな人と関わっていく中で自分らしさが伝わると思っています。社会の中で人と繋がって生きている存在ですからね。自分にしかないものを通して自分を表現しています。僕は90年代のClub Kidsやグラムロックから大きな影響をもらっています。僕のファッションにはそういう派手さがあるし、アンドロジニーも大きな存在と言えます。メイクも大好きで、グラマラスなメイクをして日常から遠い、何か違う存在になりきることはとても面白いです。」
F:FIVEISMはどんな存在ですか?これまで関わってきてどう感じていますか?
C:FIVEISMとの仕事は貴重な経験でした。コスメやファッションを通じてもっと自分らしさを表現しようというムーブメントは素晴らしいものです。僕が関わったキャンペーンに起用されたモデルは皆が違うタイプで、FIVEISMは僕たちそれぞれの個性をしっかりと理解して良いものをつくるサポートをしてくれました。
F:自分の中にアイコン(インスピレーションを与え、この人のようになりたいと思わせる人)と呼べる存在はいますか?
C:Raf Simonは大好きなデザイナーです。彼の考え方はとても独創的でクリアだと思います。どのブランドの洋服であっても彼がデザインしたものは一目瞭然だし、何よりもオリジナルラインは本当に素晴らしいです。まるでコラージュのようにアヴァンギャルドをデザインに取り入れていて、メンズファッションの伝統的でスタンダードなものと調和させているところが大好きです。撮影で着た中で気に入ったのはオーバーサイズで所々に穴のあいたレターマンセーターで、2016年冬コレクションでした。とてもロックだと感じましたね。一番気に入っているものと言えば、2014春コレクションです。ポップアートへの敬意やサイケデリックを感じさせるデザインは心から楽しい気持ちにさせてくれます。他に、Ezra Millerも尊敬している人物です。素晴しい俳優であり、とても強い個性の持ち主だと思います。周りに影響されず自分らしさを貫いている人です。
F:アイコンに近づくために自分を変えることはありますか?
C:何も変えることはありません。そのために自分を変えるというのは健全な生き方じゃないと思っています。僕は学び続けて時間とともに成長していきたい。無理やりではなく自然なかたちで。自分がどこに向かうのかわからないけれど、起こることを自然に受け止めていきたいです。
F:日々の生活の中で成功を手にするためのアドバイスはありますか?
C:心が健康であることはとても大切です。自分自身のことを何よりもまず大切に。自分を大事にできなければ何も出来ません。
F:FIVEISMのファンにメッセージをお願いします。
C:FIVEISMを通じて僕に興味を持ってくれてありがとうございます。これからも僕のInstagram(@thecoryalexander)で活動を応援してもらえたら嬉しいです。